クリニックブログ

2020.07.05更新

ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のinsulin icodec*が1日1回投与のインスリングラルギンU100と同程度の有効性と安全性を示したことを6月15日報道発表し、その内容を第80回米国糖尿病学会で発表しました。
*insulin icodec:開発中の半減期196時間の作用が長時間持続するbasalインスリンアナログ

糖尿病は血糖を下げるインスリンがうまく使えない、十分に分泌されないことにより発症し、目・腎臓・神経などの3大合併症に加え心筋梗塞や脳梗塞などの脳血管障害の危険因子となるため積極的な治療が必要な疾患です。
まずは食事療法や運動療法で治療を行いますが、改善が乏しい場合は内服薬治療となりますが、改善が乏しい場合はインスリン注射による治療が必要となります。

インスリン注射は大きく、食事の際に上昇する血糖を下げる追加分泌を補うインスリン注射、1日に必要な基礎分泌を補うインスリン注射、追加分泌と基礎分泌の両方を補うインスリン注射の3つに分けられますので、患者さんによっては1日に複数回注射が必要となる事があります。

今回の報道発表は開発段階ですので、実際に使用できるようになるにはまだ時間がかかりますが、注射の負担が少しでも減るのは良いと思います。
特に血糖を下げる薬を服用され、血糖コントロールがうまくいっていない自身でインスリン注射が難しい方に週に1回病院に受診して頂く事により、血糖コントロールが良くなり、内服薬をやめることも期待されます。

試験の詳細
DPP-4阻害薬の併用または非併用下でメトホルミンによって十分にコントロールされていないインスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者247名を対象。
主要評価項目は投与26週間後までのHbA1cの変化。
insulin icodec投与群とインスリン グラルギンU100投与群の効果は-1.33%と-1.15%で同程度(p=0.08)。
安全性について、低血糖は両投与群同程度で安全性の問題は認められなかった。

Rosenstock J, Kjærsgaard MIS, Møller DV, et al. Once-Weekly Basal Insulin Icodec Offers Comparable Efficacy and Safety vs Once-Daily Insulin Glargine U100 in Insulin Naïve Patients with T2D Inadequately Controlled on OADs. Abstract 238-OR. Presented at the 80th Scientific Sessions of the Virtual American Diabetes Association Annual Meeting, Insulin Therapies, 18:15 CDT on 14 June 2020.

インスリン注射

投稿者: おばた内科クリニック

2020.06.27更新

加藤勝信厚生労働大臣は、2020年6月19日の会見で「唾液を使った新型コロナウイルス抗原検査についての検査試薬が承認された」ことを明らかにしました。

従来の抗原検査では鼻の粘膜から検体採取が必要なため、検体採取時に感染のリスクがありましたが、唾液で検査が可能になれば大幅に感染のリスクを減らす事が可能です。

先日、発症から2〜9日以内であれば抗原検査であっても新型コロナウイルス感染症の診断が可能となりましたので、診断の選択肢が増えたことは早期介入により重症化を防ぐことや感染拡大を防ぐことに繋がえると考えます。

特にPCR検査では検査に1〜5時間かかりますが、抗原検査は30分と短時間で結果がでますので、発症から早期の場合は積極的に利用できればと考えます。

注意点は、鼻の粘膜から検体採取する抗原検査であれば専用の機器が不要ですが、唾液を検体として使用する場合は「ルミパルスG1200」および「ルミパルスG600Ⅱ」という専用の機器が必要であり、現在使用できる機器が約800台であることです。

新型コロナウイルス感染症の第2波あるいは、インフルエンザ感染症が多くなる冬の前に治療薬が揃うことを期待します。

*唾液を使用した抗原検査の試薬は「ルミパルスSARS-CoV-2 Ag」で、鼻の粘膜から採取した検体を使用する試薬は「エスプラインSARS-CoV-2」で異なります。 

唾液:抗原検査

投稿者: おばた内科クリニック

2020.06.19更新

発症から2〜9日以内であれば、新型コロナウイルス感染症の診断が抗原検査で可能になりました。

新型コロナウイルス感染症の診断についてはPCR検査、抗原検査、抗体検査の3種類があります。
抗体検査については今後の情報が必要となり、現在保険で認められている検査はPCR検査と抗原検査の2種類です。
PCR検査は検出感度が高いですが、判定に1〜5時間必要で、専用の機器が必要という難点があります。
一方抗原検査は30分ほどの短時間で検査可能ですが、これまでPCR検査と比較すると精度が落ちるとのことで、抗原検査が陰性(新型コロナ感染ウイルスではない)であった場合は、追加でPCR検査が必要でした。
ですが、発症から2〜9日以内であればウイルス量が多く、PCR検査と一致率が高い研究報告から厚生労働省は6月16日関係ガイドラインの改定を行い、「新型コロナウイルス感染症を疑う症状発症後2日目から9日目以内の者(発症日を1日目とする)については、本キットで陰性となった場合は追加の検査を必須とはしない」との通達を出しました。
抗原検査は、鼻咽頭拭い液を検体に用いるため、検体採取時には十分な感染対策が必要ですが、早期診断が可能となることは非常に意味があることと考えます。

エスプライン® SARS-CoV-2富士レビオ エスプライン® SARS-CoV-2

投稿者: おばた内科クリニック

2020.06.06更新

非常事態宣言は解除されましたが、ワクチンや治療薬が開発段階である現状、第2波へ備える必要があると考えます。
その為には3密を避ける、マスクや手洗いなどこれまでと同じように感染対策を続ける事が大事です。
ですが、どのように対策を心がけても感染を確実に防ぐ事は困難で、発熱や咳などの症状が出た時に従来の風邪などの感染症であるのか、新型コロナウイルス感染症であるのかを早期に診断することができれば、感染拡大を防ぐ事が期待できます。
これまでは鼻の奥を拭って検体を採取するPCR検査が行われていましたが、5月13日に抗原検査、6月2日より唾液を用いたPCR検査も可能となりました。
また、保険適応外ですが感染の有無を調べる抗体検査も可能となり、これらの検査方法をいかに効率良く用いるかが大事になりますので、まとめさせて頂きます。

PCR検査
患者さんの鼻の奥を拭って検体を採取し、新型コロナウイルスに含まれる特定の遺伝子を調べる方法。
検出感度は高いが、検査には1〜5時間と時間がかかること、専用の器材、検査費用がかかる、検体採取の際に感染のリスクがあるという課題があります。
*検体採取の感染のリスクは唾液を用いた検査が可能となりましたので、これから感染のリスクは低くなると考えます。

抗原検査
新型コロナウイルスに特徴的なタンパク質(抗原)を調べる方法。
約30分で判定が可能で、専用の器材は不要であるが、鼻の奥を拭って検体を採取する必要があるため検体採取の際に感染のリスクがある。
PCR検査と比べると精度が落ちるため、検査が問題なかった場合PCR検査が追加で必要となる。
また、一定のウイルス量が必要となるため、感染者の濃厚接触者であっても、無症状であった場合には抗原検査は推奨されない。
検査キットの供給が十分となるまでは、感染者数の多い地域の「帰国者・接触者外来」や特定機能病院などから供給が開始される予定

抗体検査
感染した後に体内で作られるタンパク質(抗体)を調べる方法で、感染歴が分かる。
血液を採取して調べる方法で感染のリスクは低く、簡易キットを用いれば約20分で判定できるが、PCR検査や抗原検査と比べると未知な部分があり、保険適応外。
東京や大阪などを対象に、約1万人規模の抗体検査が6月に実施される予定。

フロー

2020年5月25日『新型コロナウイルス感染症に対する検査の考え方』から抜粋
感度:病気がある群での検査の陽性率
特異度:病気がない群での検査の陰性率

投稿者: おばた内科クリニック

2020.05.24更新

転倒すると10%で骨折や脱臼、捻挫などを起こすとされます。
骨折による寝たきりを防ぐためにも、転倒予防が大事です。
転倒の危険因子に当てはまる場合は、ぜひ予防を心がけましょう!

転倒の危険因子
 歩行・バランス障害
  歩く速さが0.6m/秒以下 
   100m歩くのに3分近くかかってしまう。
  Timed Up and Go testで12秒以上かかってしまう
   *椅子に座り立ち上がって3m歩き、椅子にまた座るまでの時間
  The 4-Stage Balance Testで②が達成できない

The 4-Stage Balance Test
   10秒続ける事ができなければ終了します
   ①まず両足をそろえて立ちます
   ②この形から足の大きさの半分、片足だけ前に出します
   ③次に片足の爪先を反対側の踵に付けます
   ④片足立ち
 視力が0.25以下
 認知症がある
 安定剤、睡眠剤、ループ利尿薬を服用している

転倒予防対策 
 散歩や筋肉トレーニングに加えバランス訓練を行う
  バランス訓練:下記を1日に10~15回繰り返す。
  1)椅子の後ろに立ち片手で背もたれをつかみ片足で10秒間立つ
  2)慣れたら背もたれは指1本でタッチする
  *散歩や筋肉トレーニングだけではバランスの改善が難しいです
 視力や骨の密度の検査行う

片足立ち
Prevention of Falls in Community-Dwelling Older Adults.
Ganz DA、Latham NK
N Engl J Med.2020 Feb 20;382(8):734-743 より作成

投稿者: おばた内科クリニック

2020.05.10更新

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴い、外出自粛要請によりお家で過ごされている時間が多いと思います。
カラオケで認知機能や食べ物や飲み物がうまく飲み込めない嚥下機能障害の改善が期待できる研究報告がありました。
ストレス発散を兼ねてお家でのカラオケはいかがでしょうか?
*カラオケの音量や時間帯には、近隣へのご配慮をお願いいたします。
 
Miyazaki Atsukoらは、介護施設に入所中の65歳以上の26人の方を対象に、カラオケの練習をされる郡(14人)とされない郡(12人)で12週間観察を行い、カラオケを練習すると認知機能障害と嚥下機能障害の改善が期待される結果を認めました。
 
対象
カラオケ練習郡
週に1回1時間教えてもらい、追加として週に1時間の課題がある
カラオケを練習されない郡
ストレス発散や認知機能訓練にも期待ができるスクラッチアートを
週に1回教室で行うことに加え、課題として1枚追加
 
評価項目
 認知機能:Frontal Assessment Battery (FAB)スコア
 身体機能:舌圧、呼吸機能
 
結果
 カラオケ練習郡では、FABのうち葛藤的指示への反応が有意差を持って改善し、抑制制御は
 カラオケ練習郡でより改善を認めた。
 また、カラオケ練習郡では、舌圧の改善を認め、呼吸機能については1秒量で有意差を持って
 改善を認めた。
 *葛藤的指示への反応:指示された内容と正反対のことを瞬時に実行できるか
   抑制制御:指示された内容のうち実行しなくてよいものを瞬時に判断できるか
   一秒量:1秒間で吸い込める空気の量
 
結論
カラオケを行うことにより、認知機能と嚥下障害や呼吸機能の改善を認め、その効果は従来の学習療法と比較して遜色のないものであった。
これらの改善は、これからの生活の質の向上につながるものと考えられる。
*学習療法:文章を声に出して読む、算数問題を解く学習プログラム

カラオケ

Int J Environ Res Public Health. 2020 Feb 24;17(4). pii: E1459. doi: 10.3390/ijerph17041459.
Miyazaki A、Mori H
Frequent Karaoke Training Improves Frontal Executive Cognitive Skills, Tongue Pressure, and Respiratory Function in Elderly People:
Pilot Study from a Randomized Controlled Trial. より作成

投稿者: おばた内科クリニック

2020.04.26更新

食事の時に咳き込む場合は、飲み込みの機能(嚥下機能)が悪くなっているかもしれません。

気になる場合は、反復唾液嚥下テストを試されてみてはいかがでしょうか?

お一人で簡単にできるテストで、30秒間に何回飲み込みができるかをみるテストです。

飲み込みが3回未満の場合は、飲み込みの機能が落ちている可能性があります。

飲み込みの機能が落ちてしまいますと、食べ物が肺に誤って落ち込んでしまって発症する誤嚥性肺炎の危険度が上がってしまうかもしれません。

お食事前の簡単な体操で飲み込みの機能の改善が期待できますので、ぜひ試されてみて下さい。

気になられる方はぜひご相談下さい。 


専門スタッフ(言語聴覚士)と一緒にリハビリしませんか?

嚥下体操

50・60代〜「歯の教科書」より

投稿者: おばた内科クリニック

2020.04.12更新

パーキンソン病は手や足が震える(振戦)、体が動かしにくい(動作緩慢)、体が固くなる(固縮)、歩きにくく転倒してしまう(姿勢反射障害)を特徴とする病気です。

飲み薬や貼り薬などの薬による治療に加え、いかに運動するかが大事となります。

今回、パーキンソン病における歩きにくさに対する、歩くイメージについて動画を作成しましたのでパーキンソン病だけではなく、進行性核上性麻痺などほかの神経変性疾患や脳梗塞や脳出血後遺症などによる歩きにくさでお困りの方もぜひ参考にされて下さい。 

投稿者: おばた内科クリニック

2020.03.31更新

加齢に伴い、筋肉量は低下し身体機能や認知機能が低下し、適切な対応を行わなければフレイル(虚弱)という状態となります。

加齢などにより筋肉量や筋力が低下しますと、家から出ない、家の中で寝てばかりいるなど活動量が減りやすくなります。

活動量が減りますと食欲がわきませんので、食事摂取量が低下し栄養の偏りなどから低栄養となります。

低栄養の状態となりますと、筋肉のもととなるタンパク質も低下するためさらに筋肉量が低下し、さらなる活動量の低下と悪循環がすすみ、転倒や骨折の原因となります。

よって、適切な運動と栄養摂取が必要となります。

ですが、具体的にどのような運動を行えば良いか難しく、今回は運動療法について話をさせていただきます。

運動療法は大きく分けると有酸素運動、無酸素運動があります。

 

有酸素運動
 歩行や水泳などの全身運動を指し、骨格筋などで酸素を取り入れて糖質や遊離脂肪酸を燃焼させる運動です。
 運動の強さとしては、ややきついと感じる程度が適当とされ、心拍数で120拍/分程度あるいは安静時の1.5〜2倍が目安となります。
 筋肉を動かすエネルギー源として糖質や遊離脂肪酸を使うことから、血糖や脂質の改善が期待できますので糖尿病や高脂血症がある方は特に心がけて頂けると良いと思います。
 なお、糖尿病の患者さんが血糖の改善を期待して行う場合、歩行であれば1回20〜30分を1日2回が理想とされますが、これまで運動習慣がない方がいきなり20分は難しいと思われますので、1日5〜10分の歩行など無理のない範囲から開始し、徐々に増やしていくことをおすすめします。
 1日1回の場合、食後の血糖上昇を抑える効果を期待して、食後1時間程度から行うことをおすすめします。

 

無酸素運動
 酸素を使わない運動で、筋肉に強い負荷がかかります。
 ダンベル体操やスクワット、腹筋などで、有酸素運動と比べると短い時間でエネルギー消費が多いですが、乳酸が溜まりやすく、疲れやすいため長時間の運動には向いていません。
 運動習慣がない方やフレイル(虚弱)の状態であれば、無酸素運動については軽い負荷から開始し、徐々に慣らしていくのが良いと思われます。
 慣れてくれば、週2回以上を目安に行うことをおすすめします。

 

腰や膝が悪い場合におすすめなのは、プールなどの水中での歩行です。
プールに通うという手間がかかってしまいますが、腰や膝に負担をかけずに有酸素運動と無酸素運動の効果が期待できます。
その場合、1回30分程度を週2回程度行えれば十分と考えます。

ですが、運動習慣がなく、この寒いような状況で運動が難しいと考える場合は家の中で行う運動も良いです。
具体的にはテレビを見る際は横にならずに、座って見る。
座って見ている場合は、立って見るや座った状態で見る場合は、椅子で足踏みをする、膝を高くあげる。これを問題なく行えるのであれば足をまっすぐ伸ばした状態で足を上げたまま維持するも効果的です。

投稿者: おばた内科クリニック

2020.03.28更新

パーキンソン病などの神経変性疾患や脳梗塞・脳出血などの脳血管障害により食事の際にむせ込んだりして、誤嚥してしまう事があります。

誤嚥を予防する方法の一つとして、水分にとろみ剤を使用することにより水分の誤嚥を防ぐ事が期待できます。

とろみ剤の使用量により、どの程度とろみがつくのか動画作成行いましたので、参考にされて下さい。

なお、とろみ剤には味や匂いはありません。

投稿者: おばた内科クリニック

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