クリニックブログ

2020.04.12更新

パーキンソン病は手や足が震える(振戦)、体が動かしにくい(動作緩慢)、体が固くなる(固縮)、歩きにくく転倒してしまう(姿勢反射障害)を特徴とする病気です。

飲み薬や貼り薬などの薬による治療に加え、いかに運動するかが大事となります。

今回、パーキンソン病における歩きにくさに対する、歩くイメージについて動画を作成しましたのでパーキンソン病だけではなく、進行性核上性麻痺などほかの神経変性疾患や脳梗塞や脳出血後遺症などによる歩きにくさでお困りの方もぜひ参考にされて下さい。 

投稿者: おばた内科クリニック

2019.12.22更新

パーキンソン病の治療はL-ドパ製剤を中心とした薬による薬物療法とリハビリテーションが基本となります。

しかし、病状の進行に伴い、薬の効果が弱まり、薬の投与量が増えることによる副作用が問題となります。

薬の投与量が増えるほど薬の濃度が高く体が動きやすいon時間と、くすりの濃度が低く体が動かしにくいoff時間が出現してきます。

また、薬を服用する前に効果が切れるウェアリングオフ現象や薬の濃度が高くなり勝手に体が動くようなジスキネジアなどの副作用も出現しやすくなります。

そのため、病状が進行してきますと薬の濃度変化をなるべく起こさないように、L-ドパ製剤を少量ずつ頻回に服用する方法が選択される事が多くなります。

現在はこのような薬の服薬調整に加え、デバイス補助療法を用いることにより、これらの問題が軽減されることが期待されています。

主なデバイス補助療法として、①脳に電極を挿入して電気信号を送る脳深部刺激療法(DBS)、②ポンプとチューブで小腸に薬を持続的に注入するレボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法(LCIG)があります。

 

 脳深部刺激療法:DBS(Deep Brain Stimulation)

  ドパミン放出の減少に伴う脳回路の異常を、電極からの電気信号によって回路を正常に機能させる治療。

  off時間が改善され、薬の投与量・投与回数を減らすことができ、その結果ジスキネジアの発現が抑制され、安定した状態を24時間保つことができる。

  治療ターゲットとして、視床下核、淡蒼球内節、視床腹中間核の3つがあり、症状などにより刺激部位が選択される。

  ・ 視床下核STN:subthalamic nucleus

   最も一般的に用いられ、震え(振戦)、体が動かない(無動)、体が硬い(固縮)症状に対し効果が期待できる。

   特にoff時間の症状改善に期待され、抗パーキンソン病薬の減量が期待出来る。

   一方で精神症状、認知機能障害悪化の懸念が指摘されている。

  ・ 淡蒼球内節Gpi:globus pallidus internus

   STNと同様の効果が期待出来るが、off時間の症状改善は困難で抗パーキンソン病薬の減量は期待できないが、認知機能症状への悪化が少ないとされる。

  ・ 視床腹中間核Vim:ventral intermediate nucleus

   振戦に対して効果が期待されるが、他の運動症状の改善は乏しく、適応されるケースは限られる。

 

 レボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法:LCIG(Levodopa-carbidopa continuous infusion gel (LCIG) therapy)

  ウェアリングオフ現象やジスキネジアが生じて十分な治療が困難となった場合に検討される。

  ゲル状のレボドパ/カルビドパ配合剤を胃瘻から空腸に進めたチューブを経由して持続的に薬剤を注入する治療法。

  持続的に薬剤を投与することから、薬の濃度を一定に保つ事が期待でき、体の動きが悪い時間(off時間)が短くなり、薬の濃度が急激に高くならないことからジスキネジアも軽減できる。

  注意点は、夜間が使用できないため夜間は経口摂取で対応が必要なこと、朝の装着に介助者の補助が必要であること、胃瘻チューブの閉塞などのトラブルの問題がある。

  * レボドパを24時間連続投与すると、効果を得るまでの投与量が増えやすくなります。一方で1日16時間投与では効果を得るまでの投与量が低下することが報告されています。また、血中ドパミン濃度は夜間低下し早朝に上昇する生理的日内変動があり、活動量が低い夜間の相対的過剰投与をさけるために夜間は使用しないこととなっています。

 

DAT

投稿者: おばた内科クリニック

2019.11.10更新

パーキンソン病は進行性のため、病状が軽いときは薬物治療のみで日常生活に問題ないことが多いです。

ですが、病状が進むことにより、徐々に薬物治療のみでは転倒や誤嚥の出現など日常生活に支障が出てくることが多いです。

病状が進む前の早期の段階から活動的な生活を行い、バランスや筋力、関節可動域を改善する積極的な運動を行い、体の動かしにくさやバランス障害を予防することが大事です。

体を動かすこと、リハビリテーション治療を薬物治療に併用することにより、運動機能の向上を図ることができ、薬物治療の効果を最大限に引き出せます。

パーキンソン病のリハビリテーション治療には、病状にあわせた治療が必要です。 早期においては、活動的な生活によるバランスや筋力、関節可動域を改善する積極的な運動を行います。ですが、バランスを崩しやすくなり転倒するような段階になりますと、リハビリテーションの専門スタッフによる姿勢や起き上がり動作、歩き方について指導を受けて頂くことが大事です。あわせて自宅で行うことが出来るリハビリについても指導を受けて頂くとより効果的です。

PDリハ

H-Y stage 1:体の片側だけに手足のふるえや筋肉のこわばりがみられる。体の障害はないか、あっても軽い。

2:両方の手足のふるえ、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。日常の生活や仕事がやや不便になる。

3:小刻みに歩く、すくみ足がみられる。方向転換のとき転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせる。職種によっては仕事を続けられる。

4:立ち上がる、歩くなどが難しくなる。生活のさまざまな場面で、介助が必要になってくる。

5:車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。

病状が進むことにより、パーキンソン病に対するリハビリテーションと運動が難しくなることにより生じる筋力低下や持久力低下などに対するリハビリテーションも必要となります。

パーキンソン病に対するリハビリテーションとして、リズムや音楽にあわせた歩行訓練などがあり、cueを利用した訓練が効果的とされています。Cueである視覚刺激や聴覚刺激を利用した運動(リズムにあわせた歩行訓練)は、以前より自分のペースで行った歩行訓練よりも歩行速度や歩行率などにおいて優位に改善したとの報告があります(文献1)。

視覚的cueは歩行開始時の歩行時の振り幅に影響し、聴覚的cueは歩行のタイミングに影響し、方向転換時のバランス障害を軽減させます。

音楽のリズムにあわせた歩行訓練を行う音楽療法の有効性や、自宅の廊下の床にテープを貼って歩行時にまたぐ印とすることなども、視覚的cueを応用したものです。

運動を行わなくなってしまったことによる筋力低下や持久力低下に対しては、関節拘縮予防の関節可動域練習やストレッチ、首や体感の回旋運動、前傾姿勢などに対する練習、下肢などの筋力訓練、バランス訓練、歩行訓練、手指の細かい運動などが必要となります。

パーキンソン病においては、固縮(体が固くなること)や動作緩慢(体がゆっくりとした動きになること)は主な症状であり、それにより日常生活の動作が障害されることが多いため、肩や腰の痛みが出現することが多くなるため、肩関節や股関節などの関節可動域の訓練やストレッチが重要となります。

パーキンソン病ではドパミン神経細胞が障害されますが、運動によりドパミン神経細胞によるドパミン産生が促され、強い運動や複雑な活動はドパミン神経細胞の活性につながるとされる報告もあります(文献2)。

医療機関に対して行われたアンケートでは、リハビリテーションの開始時期はすくみ足など歩行障害など日常生活に支障が出てきてから開始されることが多いとの結果がありますが、パーキンソン病では早期から運動学習の低下があり、運動スキルの保持の低下や新しいスキルの保持の低下もあると言われていまので、可能な範囲で早期からリハビリテーションを受けて頂くことが大事です。

Cue:手がかりを取り入れた運動や音楽療法

文献1 M.H.Thaut:Rhythmic auditory stimulation in gait training for Parkinson's disease patients.Movement Disorders Vol11, March 1996, Pages 193-200

文献2 Schenkman M:Effect of High-Intensity Treadmill Exercise on Motor Symptoms in Patients With De Novo Parkinson Disease: A Phase 2 Randomized Clinical Trial.JAMA Neurol.2018 Feb1;75(2):219-226.

 

投稿者: おばた内科クリニック

2018.11.18更新

京都大病院は、様々な細胞に変化する人のiPS細胞(人の人工多能性幹細胞)から神経細胞を作り、10月に50歳代のパーキンソン病の男性患者の脳に移植したと2018年11月9日発表しました。


保険適用を目指した臨床試験(治験)計画の一環で、iPS細胞から作った神経細胞をパーキンソン病患者に移植した手術は、世界初で2年かけ安全性を検証するとのことです。

手術は、京大iPS細胞研究所が備蓄する他人のiPS細胞から、脳内の情報伝達物質ドーパミンを分泌する神経細胞のもととなる細胞を作製し、患者さんの頭蓋骨に直径12mmの穴を開け特殊な注射針で細胞を移植しました。

注意点は拒絶反応と未分化のiPS細胞が奇形腫などの腫瘍を作る可能性であり、1年間は免疫抑制剤が必要で、移植片の大きさをMRIでチェックするとのことです。

全部で7例の臨床試験(治験)を行う予定で、治療効果は手術後数ヶ月経ってから表れるとのことです。

パーキンソン病治療はリハビリテーションと薬物療法が中心で、現在はそれに加え脳深部刺激療法とデュオドーパという外科的治療があります。

外科的治療は専門施設での治療となりどこでも受ける事はできませんが、iPS細胞を用いた治療であれば最低1年間は免疫抑制剤を服用する必要や脳腫瘍のリスクがあるかもしれませんが、安全性が確認できればその後は専門施設での治療が不要となりますので従来の外科的治療に変わり得る治療と期待しています。

 

投稿者: おばた内科クリニック

2018.08.14更新

近く京都大のチームがiPS細胞(人の人工多能性幹細胞)を用いたパーキンソン病に対する治験を開始する方針となりました。

パーキンソン病は脳内での神経伝達物質であるドーパミンを出す神経細胞が減ることにより、手足の震えや体のこわばり、体の動かしにくさなどを起きる病気です。
現在内服治療や脳深部刺激療法などの外科的治療、リハビリテーションによる治療が行われていますが、病気を治すことは困難であり徐々に症状が進行してしまうことが多いです。

チームは既に、患者さんや健康な人のiPS細胞から作った神経細胞をパーキンソン病のサルに移植し、最長2年間観察し症状が改善し、がん化する可能性のある腫瘍ができなかったことを確認しています。

この治験が順調にすすめば、現在病気で苦労されている患者さんやご家族の多いな助けになると思います。
また、この治療法を応用することでパーキンソン病だけではなく認知症などの神経難病にも効果が期待できると思います。

投稿者: おばた内科クリニック

2018.07.01更新

概念
 体が動かしにくくなる病気の1つです。
 特徴的な症状は無動(動作緩慢)、静止時振戦、筋強剛(固縮)、姿勢反射障害で、これらを総称して4大症状と呼びます。
 また、便秘などの自律神経症状、嗅覚を含めた感覚障害、認知・精神機能障害、睡眠 障害などの非運動症状も注目されています。
 無動(動作緩慢)
  歩こうとした時に足がすくんでしまうすくみ足、歩くと段々と早くなって止まれなくなってしまう加速歩行などがあります
 静止時振戦
  じっとしている時に手や足が震えてしまう症状で、緊張など精神的ストレスがかかると増悪してしまうことがあります
 筋強剛(固縮)
  体が固くなってしまうことです
 姿勢反射障害
  体が前かがみになったり、バランスを崩しやすくなることです

疫学
 10万人に100人~150人くらいで発症し、中高年以降に好発します。

診断
 頭部CT検査やMRI検査では明らかな異常は認められません。
 ドパミントランスポーターイメージング(DATスキャン)にて、線条体という脳組織の一部分に変化を認めます

治療
 現在の医療では、病気自体を治すことは難しく、体の動かしにくさを改善する治療が中心となります。
 内服薬による内科的な治療とリハビリテーションが中心となります。
 患者さんの状態によって、脳深部刺激治療などの外科的治療を行います。

投稿者: おばた内科クリニック

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