クリニックブログ

2021.10.10更新

パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が障害を受けることにより、黒質で作られるドパミンが減ることにより体が動かしにくい、手足が震えるなどの運動障害が出現するとされています。

この障害の原因としてαシヌクレインが関係しているとされており、パーキンソン病だけではなく、レビー小体型認知症や多系統萎縮症など他の神経疾患にも関係しているとされています。

大阪医科薬科大学は9月14日、既存のモノアミンオキシダーゼ-B阻害薬*に、パーキンソン病の原因となるαシヌクレインタンパク質を細胞外に排出する作用があることを発見したと発表しました。

現在行われているパーキンソン病に対する治療は、脳内で不足しているドパミンを補う薬物治療やリハビリテーションが中心となっています。
なお、薬物治療での治療が困難となってきますと、現在は脳深部刺激療法など外科的治療を検討していきます。

ドパミンを補う治療として、ドパミン自体を外から補充する方法や、ドパミンの放出を促す方法、ドパミンが分解されるのを抑える方法などがありますが、これらはドパミンを補う治療であり、パーキンソン病の根本的な治療ではなく、徐々に治療薬の効果が低下し、体の動きや食べる能力が悪くなり自己での自立した生活が難しくなることもあります。

現在根本的な治療として、遺伝子治療やiPS細胞を用いた治療について研究がすすんでいますが患者さまへの治療が可能になるにはもうしばらく時間がかかるのが現実です。

モノアミンオキシダーゼB阻害薬であるセレギニン(エフピー)は、DATATOP研究において、レボドパ製剤による治療を遅らせることが報告されており、以前より神経保護作用が期待されていました。

大阪医科薬科大学ら研究チームは、神経保護作用について培養細胞とラットを用いてモノアミンオキシダーゼB阻害薬(セレギリン製剤:エフピー)がαシヌクレインの異常蓄積に対して何らかの作用を発揮しないか調べ、αシヌクレインを細胞外に排出させる作用があることと、αシヌクレインが過剰に発現したラットにモノアミンオキシダーゼB阻害薬を投与することにより、αシヌクレインの脳内の異常蓄積が抑えられ、ドパミン神経細胞の脱落が遅延し、運動機能の低下が抑えられたことを発見しました。

これらの結果は、既に使用されているモノアミンオキシダーゼB阻害薬が運動障害の改善だけではなく、これまで通り安全性が担保された上で、パーキンソン病の根本的な治療の1つになり得ることが期待できると考えて良いことです。

現在のパーキンソン病治療は、2018年のパーキンソン病診療ガイドラインに準じますと、認知症などの精神症状のリスクが高い方や、運動障害の治療が優先される方はドパミンを補充するレボドパ製剤での治療を開始し、65歳未満の方はドパミンの放出を促すドパミン作動薬あるいはモノアミンオキシダーゼB阻害薬での治療を開始するとされています。

しかし、今回の研究結果から運動障害が軽い場合、まずはモノアミンオキシダーゼB阻害薬での治療を開始し、症状がある程度認められる場合で、65歳以下であればドパミン作動薬を開始し、65歳以上であればレボドパで開始するのも良いかと考えます。

*モノアミンオキシダーゼB阻害薬
 ドパミンやセロトニンを分解する酵素であるモノアミン酸化酵素Bの働きを阻害することにより、脳内のドパミン濃度を上昇させる薬剤
エフピー:セレギリン製剤
アジレクト:ラサギリン製剤
エクフィナ:サフィナミド製剤

PDガイドライン

出典
既存のパーキンソン病症状改善薬にパーキンソン病の進行抑制につながる作用を発見、大阪医科薬科大学

https://www.omp.ac.jp/public/vqh17r0000002xno-att/vqh17r000003e9xe.pdf

パーキンソン病診療ガイドライン2018、日本神経学会

https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html

 

投稿者: おばた内科クリニック

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