クリニックブログ

2021.04.18更新

食事や水分を摂られる時にむせ込んだり、食べ物や水分が肺に落ち込んでしまうことを誤嚥と言います。

むせ込んだり、誤嚥することを嚥下機能障害と呼び、原因として加齢による食べる能力の低下や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳神経疾患、口の中や食道などに病変がある、など原因は様々です。

嚥下機能障害により肺炎を発症した場合(誤嚥性肺炎)は通常の細菌による肺炎よりも重症化や治療に難渋することがあり、いかに嚥下機能障害を早期に発見しその障害を回復させるかが大事となります。
また、今問題なくてもこれから先問題とならないように日常生活を心がける事が大事となります。

【嚥下のメカニズム】
先行期
 食べ物を認識して口まで運ぶ。
準備期
 口の中に入った食べ物は歯で噛み砕いて、唾液と混ざりながら食べ物の塊を作っていく。
口腔期
 食べ物の塊を舌と口の天井で挟んで押しつぶしながら喉の奥へと送り込む。
咽頭期
 食べ物の塊を喉の奥から食道へ送り込む。
食道期
 食べ物の塊を食道から胃へ送り込む。

嚥下機能障害は上記のどこかあるいは複合的に問題があると生じます。
よって、どこに問題があるかを調べることにより、対処法も変わってきます。
嚥下機能障害で最も注意しないといけない誤嚥性肺炎は準備期から咽頭期に問題がありますので、食べ物の大きさや硬さなどに心がけるようにします。

【嚥下障害かな?(気をつける項目)】
以下の項目に一つでも当てはまる場合は注意が必要です。
□食事中によくむせる。
□夜間に咳き込むことがある。
□食事の後に声がかれるようになった。
□食事量が減った。
□食事に時間がかかるようになった。
□食事中に疲れるようになった。
□食べ物を飲んだり食べたりすると喉に違和感がある。
□食べこぼしが多くなった。
□食べ物を飲み込んだ後も口の中に食べ物が残ってしまう。
□体重が減った。
□発熱を繰り返したり、微熱が続いている。

ムセ込み

【家でもできる簡単嚥下テスト(反復唾液嚥下テスト)】
〈方法〉
 ①楽な姿勢で座る。
 ②口の中を水などで湿らせる。
 ③喉仏に指を当てる。
 ④30秒間つばを飲み込む。
  飲み込めた回数を数える。

〈判定〉
 ・3回以上「ごくん」とつばを飲み込むことができれば問題ありません。
 ・0~2回であれば嚥下機能の低下が疑われます。

姿勢

【食事の正しい姿勢】

正しい姿勢

*車椅子で食事する際も同様に姿勢を整える。
車椅子のフットレストから足を下ろして床にしっかり両足をつける。

【食事の安全な食べ方】
☆一口量が多い場合
 →小さなスプーンを使って一口に食べる量を少なくする。
※急いで食べるとうまく飲み込めなかったり、食べ物が気道や肺に入り込み誤嚥を起こすリスクが高くなるため、一口ずつゆっくり食べることが大切です。

☆飲み込んだ後も、喉に違和感があったり口の中に残りやすい場合
 →一口食べたら何も口にせずにもう一度「ごくん」と飲み込む空嚥下を行い、口の中に食べ物が残らないように心がける
 →一口固形物を食べたらごく少量の水や汁物などを口に入れて飲み込む(交互嚥下)ことにより、口の中に食べ物が残らないように心がける

☆食後は必ず歯磨きやうがいをして口の中を清潔にすることも大切。

☆食後は座った姿勢でゆっくりする。
 →食後すぐに横になることによって食べ物が胃から逆流することによる誤嚥を防ぐため可能であれば1~2時間程度は横になることは避けることが望ましいです。

【食事の際に気をつける食べ物】
・サラサラな食べ物 
 例)水、お茶、汁物

・つるっと入りやすい食べ物 
 例)こんにゃく、ところてん、ゼリー

・硬い食べ物 
 例)イカ、たこ、ごぼう、こんにゃく、せんべい、餅、蓮根、ねりもの

・パサパサしている食べ物  
 例)パン、クッキー、芋類、ゆで卵

・口の中やのど、上顎にくっつきやすい食べ物 
 例)もなか、海苔、わかめ、ウエハース、餅

・口の中に入るとバラバラになりやすい食べ物 
 例)ピーナッツ、ひき肉

・酸味が強い食べ物 
 例)柑橘類、酢の物

*離水に注意!!
→お粥は時間が経つと米と水が分離してしまいサラサラな状態となり、むせる原因となるためとろみ剤等をつけて対応すると食べやすくなる場合があります。


参考にした資料
・機能解剖からよくわかる!「誤嚥」に負けない体をつくる間接訓練ガイドブック 大野木宏彰 著
・嚥下障害のことがよくわかる本 藤島一郎 監修

投稿者: おばた内科クリニック

2021.03.06更新

人生の中で80%~90%の人が経験すると言われている腰の痛み。
その内、80%の人が骨、椎間板、靭帯などに異常がなく、原因不明だと言われ、残りの20%の人には何かしらの原因があるとも考えられています。
ここでは、良く耳にする「腰椎椎間板ヘルニア」についての主な症状や治療法について紹介させて頂きます。

▼症状▼
【自覚症状】
・腰の痛み
・片側の下肢痛又は痺れ
・咳やくしゃみなどで増悪(デジェリーヌ兆候)
・下肢の筋に力が入らなくなる(つま先が上がらなくなるなど)
【他覚症状】
・疼痛性跛行(足を引きずったり、かばう様な歩き方)
・脊柱の側弯(痛みを回避しようとする為、背骨が左右に曲がること)
・膝蓋腱反射消失・反射
・神経根緊張徴候の陽性(SLRテスト・大腿神経伸張テストなど)

▼治療法▼
【保存療法】※多くの場合は3ヶ月以内に保存療法で軽減するとされています
・ブロック注射
・リハビリテーション(症状に適した)など
【手術療法】
・大きなヘルニアにより症状が強い方や排尿障害(尿閉、残尿、力みによる尿漏れ)を呈している方が対象となります

急にヘルニアになったらどうしたら良いの?
✖やってはいけないこと✖
・痛みを我慢して動くこと
・腰を揉んでもらったり、さすったりすること
・冷やしたり、温めること
など・・・

○自分でできること○
・痛みが出ない楽な姿勢を探して、できるだけ安静にする
・痛み止めのお薬等を内服し、しっかりと栄養、休養をとる
・楽な姿勢でゆっくり腹式呼吸をする
 鼻から息を吸ってお腹をふくらませ、口から息を吐いてお腹をへこませる
・寝る時以外はなるべく目をつむらず、テレビやスマートフォンなどを見て気分転換をする
など・・・

▼その他の注意点!▼
・どうしても力を入れないといけない場合は、息を口から吐きながら力を入れる
・荷物を持たないといけない場合は、脇を閉めてお腹に近づける

実際にはどの様なリハビリをするの?
※リハビリの内容に関しては、症状によって様々です。
状態や時期によって、やって良い事、悪い事があります。
担当理学療法士、又は作業療法士に身体の評価、そして各個人に合ったメニューを組んでもらうのがベストです。
おばた内科クリニックにおいても腰椎椎間板ヘニルアに対するリハビリテーションを行っていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※また、必ずドクターからの了承を得て行って下さい。

急性期のリハビリテーション
1.ポジショニング指導(寝る時など)
2.ADL指導(生活での注意点等の確認)
3.呼吸(腹式呼吸、胸式呼吸)
4.リラクセーション(やり方は症状によって異なります)
など

術前のリハビリテーション
基本的に手術=状態が悪い、症状が強いという方が多いです。症状が落ち着いた状態で、手術を受ける方が予後が良いと言われています。
担当セラピストにより各個人、状態に合ったリハビリメニューを組んでもらいましょう。

術後のリハビリテーション
リハビリに関しては、手術の種類によって異なります。
また、生活での注意点、禁忌肢位も変わってきますので必ずドクターの指示を守って下さい。

おばた内科クリニックでは腰の痛みについて、患者さんとの病歴聴取に加え、診察と腰のMRIによる精密検査を行い、患者さんにあった内服治療をリハビリテーションによる保存的治療を行わせて頂きます。保存的治療で改善が難しい場合は、外科的治療について大学病院などと連携を取らせていただいています。

投稿者: おばた内科クリニック

2021.02.23更新

先日、現状アストラゼネカ社とモデルナ社でのワクチンで感染予防効果が明らかでないことから、ワクチン接種後も感染予防として引き続きこれまで通りのマスクや手洗いなどの感染予防策が必要であると報告させて頂きましたが、CareNetにて「BioToday.com」より情報が出されたワクチンについて有用と思われる情報がありましたので、ご報告させて頂きます。

現在アメリカやイギリス、イスラエルなどでは日本に先行してワクチンの接種が始まっています。
最もワクチン接種が進んでいるイスラエルでは人口の4割超が少なくとも1回の接種が終了しており、アメリカのファイザー社のワクチン接種した60万人について、未接種の60万人と比べたところ、発症者が94%減少し、重症例も92%減少したとの報告があり臨床試験結果と同等の結果が示されました。

また、イスラエルでファイザー社/バイオンテック社のワクチンを接種した方と、非接種の方で感染の程度を検討したところ、1回目のワクチン接種後12〜28日後のウイルス量はワクチン接種後の方は非接種の方と比べ4分の1ほどに抑えられており、また他人を感染させにくいとする効果も示唆されました。
これはLancetにウイルする量が多い人ほど感染させやすい報告に矛盾しないと考えます。
*今後、アストラゼネカ社とモデルナ社のワクチンでの感染予防効果もこれから報告が出てくるかもしれません

また、ファイザー社/バイオンテック社やモデルナ社のワクチンでは最近心配されている新型コロナウイルス変異株に対する阻止抗体も期待されています。

米国ワシントン州シアトルのがん研究センターのAndrew McGuire氏のチームはCOVID-19を経た10人から血液を採取し、続いてファイザー社/バイオンテック社あるいはモデルナ社のワクチンの1回目接種後に再び血液を採取し、採取した血液を使ってその元祖株と南ア変異株の細胞感染を阻止する中和抗体の活性を調べたところ、ワクチン接種後には元祖株と南ア変異株への中和抗体がどちらもおよそ1,000倍上昇していました。

これからさらなるワクチン接種後の効果や副作用などの情報収集は必要と考えますが、発症や重症化予防について肯定的な結果が蓄積されていることに加え、感染予防と変異株に対しても効果が期待できるのであれば、ワクチン接種に問題がないのであれば接種されることをおすすめします。

出典元:CareNet 公開日:2021/02/16

投稿者: おばた内科クリニック

2021.02.11更新

エムガルティ

片頭痛は10〜30歳ごろに発症し、右や左など片側を優位にズキズキとした拍動性の頭痛を特徴とし、日本国内の有病率は840万人にのぼるとされます。
患者さんによっては頭痛により日常生活に支障を来すことがあり、月に10回以上の頭痛発作がある場合は、薬物乱用頭痛を予防するためにも片頭痛の予防治療を行います。
ですが、予防治療を行っても頭痛の改善が乏しいこともあります。
今回、月に1回の注射による治療で片頭痛発作予防が期待できる治療薬が日本でも製造承認されましたので、報告させて頂きます。

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)は片頭痛発作時に三叉神経の末梢で認められる神経伝達物質で、疼痛を引き起こします。
CGRPを投与することにより、大部分の片頭痛患者さんに片頭痛発作が誘発されることが示されており、今回製造承認された薬剤(抗CGRP抗体;ガルカネズマブ)はこのCGRPの作用を阻害することにより片頭痛発作を抑制します。

国内第Ⅱ相試験;CGAN試験
459例の反復性片頭痛患者さんをプラセボ投与群(実際の薬剤ではない群)230例、120mg群115例、240mg群114例に振り分け。
患者さんの8割以上は女性で、片頭痛と診断されてから3群とも20年経過しており、頭痛日数はおよそ8〜9日であった。
1ヶ月あたりの片頭痛日数(monthly headache day:MHD)の変化量を6ヶ月間検証したところ、効果は1ヶ月後から認められ、1ヶ月あたり3.6日頭痛日数が減少し、約半数は頭痛の発作日数が半分に減り、1割弱ではありますが頭痛が無くなりました。
なお、120mg群と240mg群で効果について、有効性に大きな差はありませんでした。

SC1

SC2

SC3
国内第Ⅲ相長期投与試験;CGAP試験
CGAN試験を完了した日本人反復性片頭痛(Episodic migraine;EM)患者246例及び新規参加の日本人慢性片頭痛(Chronic migraine:CM)患者65例の合計311例を対象に1年間投与したときの安全性と忍容性を検討。
EM患者さんでは、CGAN試験での有効性を維持あるいはさらに改善を認め、CM患者さんにおいても、EM患者さんと同様に投与1ヶ月後より頭痛日数の減少を認め1年間維持された。

SC4

今回製造承認された薬剤は注射剤ですが、20年におよび月に3日に1度の割合で頭痛のあった患者さんに効果が認められたことから、1日でも日本でも早く使用できればと思います。
また、同様の機序の経口薬も開発中であり、今後片頭痛の予防治療が向上し、少しでも頭痛で悩まれている患者さんが救われればと期待しています。

これからもおばた内科クリニックでは頭痛やパーキンソン病、脳血管障害などの脳神経疾患だけではなく、糖尿病などの生活習慣病についてなど様々な医療情報を可能な限り情報発信させて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

医薬品インタビューフォーム
エムガルティ®皮下注 120 mg オートインジェクター
エムガルティ®皮下注 120 mg シリンジ
file:///Users/obatazyuzenn/Downloads/%E3%82%A8%E3%83%A0%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E7%9A%AE%E4%B8%8B%E6%B3%A8%EF%BC%91%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BD%8D%EF%BD%87%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B8_1_1.pdf

 

投稿者: おばた内科クリニック

2021.01.17更新

新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、福岡でも非常事態宣言が発令され、感染が心配なことから家で過ごす時間が増えている方が多いと思います。
高齢の方や、糖尿病や呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は重症化のリスクが高いと言われていますが、新型コロナウイルス感染症発症からおよそ1年経過し「足腰が弱くなってしまった」、「物忘れが増えた」、「元気がない」という運動機能や認知機能の障害が問題となってきています。

人混みを避けることは重要ですが、過度な行動制限はフレイル(心身が脆弱した状態)などの健康障害の原因となりえます。
以前より運動習慣が認知症発症の予防に重要であることは知られており、運動習慣がある人はない人と比べアルツハイマー型認知症の発症リスクが40%低い報告もあります。

また、九州大学大学院精神病態医学分野講師の小原知之氏は、孤独感が認知症の発症リスクを5倍以上高めることが明らかになったと昨年11月末に行われた認知症学会で報告しました。
これは日本で行われている認知症に対する研究の一つ(久山町研究)として報告されたもので、65歳以上の高齢者1,141人を対象に5年間経過をおったところ、孤独感がある人はない人と比べ、認知症の発症リスクが1.5倍高いことが判明しました。
さらに、同居していない親族や友人との交流が月に数回以上ある人では、認知症発症リスクに差が認められなかったとのことです。
極端に言ってしまえば、月に数回でも人と会えば孤独感に関連した認知症のリスクを抑えられる可能性があるということです。

人との接触

新型コロナウイルス感染症が拡大している現在、運動や人と会うことに抵抗があるとは思いますが、何もせずに家にこもってしまうのは、新たな健康被害を引き起こすかもしれません。

介護保険をお持ちの方であれば、デイケアやデイサービス利用により運動や人との交流の機会を持つことができます。
複数の方との接触が心配な方は、訪問リハビリテーションという、ご自宅で運動を行うことも可能です。
訪問リハビリテーションであれば、自分にあった必要な生活動作のための訓練を行うことができます。

家で過ごすことが多くなり、このまま過ごす事が大丈夫なのかご心配な方は、いつでも当院にご相談下さい。
当院ではデイケアによるリハビリテーションに加え、訪問リハビリテーションも行っており、必要に応じて訪問診療も行っています。

時間はかかると思いますが、必ず新型コロナウイルス感染症を克服するあるいはインフルエンザウイルスと同じように共存することができると信じています。
その時に笑顔でいままでと同じように迎えられるように、当院にできることを行わせて頂きたいと思います。
なにか気になることがありましたら、いつでもご相談下さい。

出典
Emotional loneliness is associated with a risk of dementia in a general Japanese older population: the Hisayama Study

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33170218/

投稿者: おばた内科クリニック

2021.01.11更新

Pfizer(ファイザー)社とBioNTech(バイオンテック)社による新型コロナウイルス感染症に対するワクチン(COVID-19ワクチン)の副作用・アレルギー反応は?

米国疾病予防管理センター(CDC)は2021年1月6日に初回投与を行ったおよそ190万人に対するアレルギー反応について報告しました。

2020年12月14日から23日に初回投与されたCOVID-19ワクチンは189万3360回(女性117万7,527人、男性64万8,327人、性別不明6万7,506人)で、4,393例(0.2%)に有害事象が報告されました。
そのうちアナフィラキシー反応を含む重度のアレルギー反応は175例でした。
このうち21例(女性19例、男性2例、100万回あたり11.1例0.001%)がアナフィラキシーと判断されましたが、うち17例はアレルギーまたはアレルギー反応の既往があり、そのうち7例はアナフィラキシーの既往がありました。
アナフィラキシー反応は71%が接種15分以内に発症し、86%は30分以内に発症していました。
幸いその後の情報が確認できた20人全員は治療により回復もしくは退院されています。

なお季節性インフルエンザワクチンでのアレルギー反応について、厚生労働省は接種局所のアレルギー反応が10〜20%に起こり、全身性の反応が5〜10%にみられるとしています。
令和元年10月1日から令和2年4月30日までに日本で行われた季節性インフルエンザワクチン接種は56,496,152人に行われアナフィラキシーの可能性があるものは22例(100万回あたり0.4人、0.00004%)でした。

今回の報告ではアナフィラキシーを含めた重度のアレルギー反応は、季節性インフルエンザワクチンよりも頻度が多いものでしたが、21例のうち17例はアレルギーあるいはアレルギー反応の既往がある方で、今後予防効果を含めたさらなる情報収集が必要と考えますが、予防接種を受けないことによる感染リスクなどのデメリットも含め接種について検討する必要があると考えます。

私としましては、感染拡大が急速に広がっている現在、COVID-19ワクチンの接種適応があるのであれば、受けるのが良いと考えます。

情報元
・Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine — United States, December 14–23, 2020
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm#T1_down
・令和元年シーズンのインフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告について
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000681710.pdf
・ケアネット

投稿者: おばた内科クリニック

2020.12.27更新

新型コロナウイルス感染症の拡大が心配されるなか、ワクチンに対する期待が高まっています。
日本においても、Pfizer(ファイザー)社とBioNTech(バイオンテック)社による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、12月18日厚生労働省に日本における使用承認の申請が行われ、早ければ来年の2月には使用できるかもしれません。

ですが、実際に使用するにあったっては、ワクチン開発まで従来のワクチンと比べ開発期間が短いため、有効性や安全性が気になるところ思います。

The new england journal of medicine のオンライン版にて、Pfizer社とBioNTech社による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」の第3相試験結果が報告されました。

試験は、16歳以上の健康な男女43,448人を対象とし、ワクチン投与群21,720人と非ワクチン群21,728人に分け、21日間隔で2回投与行いその有効性や安全性について検討を行いました。
このワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンです。
mRNAワクチンとは、ウイルスの遺伝子情報に基づいてワクチンを作成する遺伝子ワクチンの一つで、他にウイルスベクターワクチン、DNAワクチンがあります。

有効性
新型コロナウイルス感染症発症は、ワクチン投与群8人に対し、非ワクチン投与群は162人で、有効率は95%でした。
年齢や性別、人種、基礎疾患などを含めた検討でも、概ね一致していました。

ワクチン

副作用
注射部位の痛み、倦怠感、頭痛が中心でしたが、非ワクチン投与群と差はあまり認められませんでした。

従来のワクチンはウイルスなどの病原体の毒性を弱める、あるいは病原性を出さないようにして作られ、病原体に対する危険を完全に払拭することが出来ず、時間と製造費用がかかるという問題がありました。
今回開発されたmRNAワクチンはウイルスの遺伝子情報から作成され、1年ほどで実用化されました。
変異した新型コロナウイルス感染症にも有効化かは不明ですが、感染拡大が広がっている現在においては、さらなる感染拡大を予防する一つの手段として来年の2月に使用ができるようになればと思います。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33301246/

投稿者: おばた内科クリニック

2020.12.06更新

健康診断で糖尿病や高血圧、高脂血症を指摘されたことはありませんか?

これらのいわゆる生活習慣病は脂肪肝の原因となりますが、日本における健康診断を受診された方を対象とした研究では30%前後に非アルコール性脂肪性肝疾患が認められたと報告されています。

脂肪肝は肝硬変や肝細胞癌を引き起こすことがあり、注意が必要です。

肝細胞癌の1000人あたりの年間の発癌率は、非アルコール性脂肪性肝疾患では0.44人ですが、非アルコール性脂肪肝炎となりますと5.29人と高くなり、肝硬変まで悪化しますと0.45〜22.6人まで上昇してしまいます。

もし健康診断で糖尿病や高血圧、高脂血症を指摘されたことがありましたら、お腹のエコー検査(腹部エコー)を受けられることをおすすめします。
また、前回の検査から時間が経過している方も再検査をおすすめします。

腹部エコー検査

脂肪肝

左図が脂肪肝のエコーですが、脂肪が肝臓に沈着することにより、右図の正常の方と比べると肝臓が全体的に白っぽく写っています

腹部エコー検査で脂肪肝が確認されましたら、肝臓の線維化の評価を行いますが、評価としてはFIB-4 indexを用います。
これは年齢×AST/血小板数×√ALTから求めることができ、1.3以下(70歳以上では2.0未満)であれば問題ありません。しかしそれよりも高い数値、特に2.67以上となりましたら、肝臓を専門とされる施設での精密検査が必要となります。

非アルコール性脂肪性肝疾患は肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病やアルコールとの関連が考えられているため、これらの予防や治療が重要です。

治療の基本は食事と運動を心がけることで改善が期待できます。
アルコール摂取量の上限はエタノール換算男性30g/日、女性20g/日とされています。
計算式は「アルコール度数(%)×アルコール量(mL)×アルコール比重(0.8)」です。
例えばアルコール度数5%のビール500mlですと、0.05×500×0.8=20となりますので、女性であれば500mlのビール1本が上限となります。

生活習慣病や脂肪性肝疾患は自覚症状としては何もありませんが、放置しますと心臓や脳の血管障害のみならず、肝細胞癌などの重篤な疾患の原因となりえますので、日頃の健康に対する心がけをお願い致します。

*線維化とは?
肝臓に障害が起きますと、一部の肝細胞は死んでしまいますが、周りの肝細胞が付着することで肝臓は再生していき、時間の経過とともに完全に回復します。しかし、障害が続きますと完全な回復が追いつかなくなり、組織が固くなっていまい、この固くなることを線維化と呼びます。
硬い部分は肝臓としての機能を果たすことができずに、その範囲が広くなりますと肝臓の機能が低下してしまいます。
この状態を肝硬変と呼びますが、肝硬変は肝細胞癌の発症の要因となってしまうため、いかに肝硬変まで悪化しないようにするかが重要となります。

投稿者: おばた内科クリニック

2020.11.22更新

Diabetes Care誌11月号にて、糖尿病治療薬の一つであるメトホルミンが認知機能の低下と認知症発症との関連についての研究で、メトホルミンを服用している糖尿病患者さんは、メトホルミンを服用していない患者さんよりも認知機能の低下が遅く、認知症の発症リスクが低いことが報告されました。

2型糖尿病は、認知機能障害や認知症発症との関連が先行研究で示されています。
糖尿病治療薬の一つであるメトホルミンは米国糖尿病学会の2型糖尿病薬物療法ガイドラインの2020年度版でも第一選択薬として推奨されており、日本人でも禁忌でない場合は第一選択薬とされています。

今回報告されたSydney Memory and Ageing Studyは1037人の認知症でない70歳から90歳を対象とした研究で、メトホルミンを服用している糖尿病患者67人、メトホルミンを服用していない糖尿病患者56人、糖尿病でない903人の3群に分け、6年間の経過観察のなかで神経心理学的検査を行って評価しています。

3群とも6年間の経過で認知機能は低下していましたが、メトホルミンを服用している糖尿病患者はメトホルミンを服用していない糖尿病患者や糖尿病でない群と比較して、全般的な認知機能の低下は有意に遅く(P=0.032)、実行機能の低下はメトホルミンを服用していない糖尿病患者で早く低下していました(P=0.06)。
なお記憶、言語、注意、処理速度の低下はメトホルミンを服用していない糖尿病患者で早かったですが、統計的な差は認められませんでした。
6年間の経過観察期間中に認知症を発症したのは91人で、73人(同群の8.2%)が糖尿病でない群で、8人(同群の14.5%)がメトホルミンを服用していない糖尿病患者で、メトホルミンを服用している糖尿病患者は4人(同群の6%)と最も少なかったです。
メトホルミンを服用していない糖尿病患者での認知症発症率は、メトホルミンを服用している糖尿病患者の5.29倍でした。
認知症を発症するまでの期間を分析した結果(Cox回帰モデル)、メトホルミンにより認知症発症のリスクが81%低下していました。

今回の研究結果から、メトホルミンの神経保護作用の可能性が支持されましたが、研究から脱落した方は非脱落者よりも認知機能が低下していたため、生存者の偏りが影響している可能性あり、今後も無作為比較試験などさらなる研究が必要と考えます。

認知症

出典元
日経メディカル
Samaras K, et al. Metformin use is associated with slowed cognitive decline and reduced incident dementia in older adults with type 2 diabetes: the Sydney Memory and Ageing Study. Diabetes Care. 2020:43:2691-2701.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32967921/

投稿者: おばた内科クリニック

2020.10.18更新

肩の痛みについて

「肩が痛い」肩の痛み一つでも様々な病名があります。
「四十肩かな?」「すじが切れているのかな?」「首からきているのかな?」
肩の痛みを経験した事がある方は一度考えた事ありませんか?
原因、症状によって対処の仕方、リハビリの内容が違ってきます。
ここではリハビリテーションの適応となり、発生頻度が高い①肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、②腱板断裂・損傷、③石灰沈着性腱板炎、④Quadri lateral space(QLS)症候群の特徴を説明させて頂きます。

①肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

中高年者で特に誘因がなく肩の痛み、可動域制限をきたし、年齢からくる肩の退行変性(機能の低下)が主な原因だと考えられています。
痛みが出る部位は様々で、なかには肘に痛みが出る事もあります。
肩が上がらない、エプロンを結びにくい、頭を洗いにくいなど日常生活にも支障が出る場合もあります。
炎症期、拘縮期、回復期に分けられ、時期によってリハビリの内容が異なります。
〈特徴〉
◆自然と痛くなった 
◆拘縮(肩周りが固くなる)
◆夜間時の痛み

肩の痛み

②腱板断裂・損傷

腱板とは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋で構成されています。
原因としては、外傷(肩を打ったなど)、腱板収縮力による応力集中(力仕事、肩の使い過ぎ)、加齢による腱の変性が考えられています。
症状としては、肩に力が入らない(上がらない)、痛くて眠れない、肩を動かすと痛むなどが挙げられますが、痛みが伴わない例もあり様々です。
完全断裂よりも、部分断裂の方が症状が強い例もあります。
治療には保存療法(リハビリ)、手術療法(ARCR)があります。
まずはリハビリで治療をし、効果がなければ手術を検討という流れが一般的です。
「腱が切れている=上がらない」、「腱が切れている=手術」ではありません。
〈特徴〉
◆外傷(肩を打ったなど)
◆肩に力が入らない(上がらない)
◆夜間時の痛み

腱板

③石灰沈着性腱板炎

突然、激烈な痛みが生じ、肩の自動運動(自力で動かすこと)が全くできなくなり、肩の他動運動(第三者あるいは器具を用いて動かすこと)も著しく制限されます。

40~50歳代の女性に多くみられます。
原因は不明ですが、股関節や肩周りの筋の柔軟性が悪いと発症しやすいとも言われています。
治療としては、注射針で石灰を吸引し、その後副腎皮質ステロイドを注入します。
痛みが落ち着いてくればリハビリを行うが一般的です。
〈特徴〉
◆激烈な痛み 
◆肩が動かせない 
◆夜間時の痛み(眠れない程の)

肩のレントゲン

④Quadrilateral space(QLS)症候群

上腕三頭筋長頭腱、大円筋、小円筋、上腕骨によって囲まれた四角形の隙間があり、この隙間には腋窩神経、後上腕回旋動脈(肩関節の栄養を支配している)が通っています。
前屈み姿勢、パソコンを打つ姿勢などで同部位が狭くなる事があります。
狭くなる事により神経、血管を圧迫してしまい、三角筋(肩周り)筋力障害、肩全体の鈍い痛み、前腕の痺れなどの知覚障害などがみられます。
リハビリでの治療が主で、リラクセーション、肩周りの筋緊張緩和、肩甲骨の調整などを行います。
〈特徴〉
◆肩全体の痛み 
◆前腕の痺れ
◆肩周りの筋肉の萎縮

肩の解剖

肩の痛みが気になる方、肩の痛みについて詳しく知りたい方はおばた内科クリニックスタッフまでお気軽にお声掛け下さい。

 

投稿者: おばた内科クリニック

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