クリニックブログ

2021.11.21更新

2型糖尿病は、認知機能障害や認知症発症との関連がさまざまな研究で報告されています。
オランダのMaastricht University Medical CentreのApril C.E. van Gennip氏らは2型糖尿病と7つの認知症危険因子との関連を検討し、危険因子を改善させることにより、認知症のリスクが低下することを報告しました。

UK Biobank登録者約8万人を対象に平均9年間追跡し、2型糖尿病と7つの認知症危険因子との関係を検討した。

対象は2006~2010年にUK Biobankに登録され、認知機能検査と頭のMRI検査を受けた40~69歳の8万7,856例(2型糖尿病患者群1万663例、糖尿病でない対照群7万7,193例、平均年齢57.1歳、女性49.4%)。
2型糖尿病患者を7つの認知症危険因子の値がガイドラインの目標範囲にある数で4群(0~2、3、4、5~7個)に分類。
2018年2月まで追跡して、認知症危険因子と認知症の発症、ドメイン特異的認知機能(処理速度、記憶、実行機能)、脳の構造異常(白質病変、全脳容積)との関係を評価した。

7つの危険因子
・非喫煙
・HbA1c 7%未満
*HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を示し、糖尿病の治療評価として使用し、合併症予防として7%未満が望ましい
・血圧130/90mmHg未満
 *2019年の高血圧ガイドラインでは、診察室での血圧が130-139 かつ/または 80-90mmHgは高血圧値とされます。
・BMI 20~25
 *身長と体重から肥満度を示すもので、体重kg÷身長m÷身長mで求めます
  日本肥満学会の判定基準では18.5から25未満が普通体重とされます
・アルブミン尿なし
 腎臓の機能が低下することにより、老廃物の濾過機能が低下することにより、本来であれば尿に認められないアルブミンが排出されます。糖尿病の3大合併症の一つである糖尿病性腎症の早期発見に重要です
・運動150分以上/週
 2020年の世界保健機構(WHO)によるガイドラインでは、18歳以降の一般的な成人であれば週に150~300分の中強度の有酸素運動を提言しています。
・米国心臓病協会(AHA)Healthy Diet Scoreに基づく健康的な食生活
  野菜や全粒粉、肉や魚、果物、大豆類、乳製品などのバランスよく摂取し、塩分やアルコールを減らすことなどが勧められています。
  注意点は、急激な減量を行いますと、脂肪だけではなく、必要な筋肉も減ってしまうことです。

平均9.0年の追跡期間中に、糖尿病群の147例(1.4%)、対照群の412例(0.5%)が認知症を発症し、年齢、性、教育レベルを含めて検討したところ、2型糖尿病群では対象群よりも認知症発症のリスクが88%高いことが判明しました。

ここで大事なことは、2型糖尿病群であっても、目標範囲内の危険因子が多いほど認知症発症のリスクが低くなり、目標範囲内の危険因子が5〜7個ある場合は対象群と比較し認知症発症のリスクに変わりありませんでした。

また、認知機能や脳の構造についての検討においても2型糖尿病群で目標範囲内の危険因子が多いほど、機能の低下や脳の構造異常の程度は軽度で、認知症発症リスクと同様に目標範囲内の危険因子が5〜7個ある場合は、対象群と差がありませんでした。

さらに解析をすすめていくと、2型糖尿病にかかっている期間は危険度に関連なく、目標範囲内にある危険因子が1つ増えるごとに認知症の発症リスクが20%低下し、特にHbA1c7%未満、非喫煙者、アルブミン尿なしが認知症リスクを最も低下させる因子でした。

認知症については根本的な治療が開発中ですが、2型糖尿病を含め生活習慣に気をつけることは、認知症発症のリスクを減らすこと、生活習慣病自体の悪化を防ぐことから出来ることから心がけていくことが重要と考えます。

認知症リスク

出典
Association of Type 2 Diabetes, According to the Number of Risk Factors Within Target Range, With Structural Brain Abnormalities, Cognitive Performance, and Risk of Dementia
April C.E van Gennip
Diabetes Care. 2021 Nov;44(11):2493-2502. doi: 10.2337/dc21-0149. Epub 2021 Sep 29.

https://care.diabetesjournals.org/content/44/11/2493.long

 

投稿者: おばた内科クリニック

2021.11.21更新

2型糖尿病は、認知機能障害や認知症発症との関連がさまざまな研究で報告されています。
オランダのMaastricht University Medical CentreのApril C.E. van Gennip氏らは2型糖尿病と7つの認知症危険因子との関連を検討し、危険因子を改善させることにより、認知症のリスクが低下することを報告しました。

UK Biobank登録者約8万人を対象に平均9年間追跡し、2型糖尿病と7つの認知症危険因子との関係を検討した。

対象は2006~2010年にUK Biobankに登録され、認知機能検査と頭のMRI検査を受けた40~69歳の8万7,856例(2型糖尿病患者群1万663例、糖尿病でない対照群7万7,193例、平均年齢57.1歳、女性49.4%)。
2型糖尿病患者を7つの認知症危険因子の値がガイドラインの目標範囲にある数で4群(0~2、3、4、5~7個)に分類。
2018年2月まで追跡して、認知症危険因子と認知症の発症、ドメイン特異的認知機能(処理速度、記憶、実行機能)、脳の構造異常(白質病変、全脳容積)との関係を評価した。

7つの危険因子
・非喫煙
・HbA1c 7%未満
*HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を示し、糖尿病の治療評価として使用し、合併症予防として7%未満が望ましい
・血圧130/90mmHg未満
 *2019年の高血圧ガイドラインでは、診察室での血圧が130-139 かつ/または 80-90mmHgは高血圧値とされます。
・BMI 20~25
 *身長と体重から肥満度を示すもので、体重kg÷身長m÷身長mで求めます
  日本肥満学会の判定基準では18.5から25未満が普通体重とされます
・アルブミン尿なし
 腎臓の機能が低下することにより、老廃物の濾過機能が低下することにより、本来であれば尿に認められないアルブミンが排出されます。糖尿病の3大合併症の一つである糖尿病性腎症の早期発見に重要です
・運動150分以上/週
 2020年の世界保健機構(WHO)によるガイドラインでは、18歳以降の一般的な成人であれば週に150~300分の中強度の有酸素運動を提言しています。
・米国心臓病協会(AHA)Healthy Diet Scoreに基づく健康的な食生活
  野菜や全粒粉、肉や魚、果物、大豆類、乳製品などのバランスよく摂取し、塩分やアルコールを減らすことなどが勧められています。
  注意点は、急激な減量を行いますと、脂肪だけではなく、必要な筋肉も減ってしまうことです。

平均9.0年の追跡期間中に、糖尿病群の147例(1.4%)、対照群の412例(0.5%)が認知症を発症し、年齢、性、教育レベルを含めて検討したところ、2型糖尿病群では対象群よりも認知症発症のリスクが88%高いことが判明しました。

ここで大事なことは、2型糖尿病群であっても、目標範囲内の危険因子が多いほど認知症発症のリスクが低くなり、目標範囲内の危険因子が5〜7個ある場合は対象群と比較し認知症発症のリスクに変わりありませんでした。

また、認知機能や脳の構造についての検討においても2型糖尿病群で目標範囲内の危険因子が多いほど、機能の低下や脳の構造異常の程度は軽度で、認知症発症リスクと同様に目標範囲内の危険因子が5〜7個ある場合は、対象群と差がありませんでした。

さらに解析をすすめていくと、2型糖尿病にかかっている期間は危険度に関連なく、目標範囲内にある危険因子が1つ増えるごとに認知症の発症リスクが20%低下し、特にHbA1c7%未満、非喫煙者、アルブミン尿なしが認知症リスクを最も低下させる因子でした。

認知症については根本的な治療が開発中ですが、2型糖尿病を含め生活習慣に気をつけることは、認知症発症のリスクを減らすこと、生活習慣病自体の悪化を防ぐことから出来ることから心がけていくことが重要と考えます。

認知症リスク

出典
Association of Type 2 Diabetes, According to the Number of Risk Factors Within Target Range, With Structural Brain Abnormalities, Cognitive Performance, and Risk of Dementia
April C.E van Gennip
Diabetes Care. 2021 Nov;44(11):2493-2502. doi: 10.2337/dc21-0149. Epub 2021 Sep 29.

https://care.diabetesjournals.org/content/44/11/2493.long

 

投稿者: おばた内科クリニック

2021.11.07更新

めまいは、身体のバランスを保つ機能に障害が起こることで発症し、ぐるぐる回る感じ(回転性vertigo)、フワフワした感じ・宙に浮いた感じ(浮動性dizziness)、意識を失う感じ(前失神性、眼前暗黒感presyncope)など、さまざまな症状があります。

めまいには、耳から生じるもの、脳から生じるもの、脊髄から生じるもの、末梢神経から生じるもの、貧血によるものなどがありますが、耳(前庭)が原因であるめまいが最も頻度が多いです。

その中でも良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo,BPPV)はもっとも多く、頭の位置の変化により誘発されることを特徴とし、耳鳴りや難聴はありません。

良性発作性頭位めまい症は内服薬による治療に加え、Epley法という運動を行うことで改善が期待できますが、ソウル大学(韓国)のJi-Soo Kim氏らの研究により、ビタミンDやカルシウム摂取により予防効果が期待されることが分かりました。

ビタミンDやカルシウム摂取は骨の治療も期待できますので、不足していないか食事の内容に気をつけたり、少ない場合はサプリメントを試されるのが良いと考えます。
*骨粗相症の患者さんに必要な1日量の目安として、カルシウムは約800mg、ビタミンDは10から12mgとされています。
過剰な摂取は便秘などの原因となりますので、参考にされてください。

研究について
2013年12月~2017年5月に、8カ所の病院におけるBPPV患者さん約1,000人について、ビタミンD濃度を測定し、20ng/ml未満の患者さんにビタミンD400IUとカルシウム500mgを含むサプリメントを1日2回摂取してもらいました。
平均1年間の観察期間において、サプリメントを摂取した患者群はめまいが0.83回であったのに対し、未摂取群は1.10回と再発率比は0.76(95%信頼区間0.66~0.87)と抑えることが出来ました。

なお、サプリメント使用群において、ビタミンD濃度が10ng/mL未満だった群での再発率の低下が45%に対し、10~20ng/mLだった群の再発率の低下は14%の低下にとどまっていたことから、食生活に偏りがある場合は、よりめまいを抑える効果が期待できます。

カルシウムが多く含まれる食品
 牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品
 骨ごと食べられる小魚
 豆腐や納豆などの大豆製品
 野菜類や海藻など
 特に、牛乳や乳製品は、他の食品に比べてカルシウムの吸収率が高いことから効率よく摂取できます

ビタミンDが多く含まれる食品
 魚(イワシ、サンマ、サケ)やきのこ(キクラゲ、シイタケ)など
 また、日光を浴びることにより、体内で生成されるため、天気の良い日に散歩など行うことも有効です

めまい

原文
 Prevention of benign paroxysmal positional vertigo with vitamin D supplementation A randomized trial
 Seong-Hae Jeong、First published August 5, 2020
 https://n.neurology.org/content/95/9/e1117

 

参考資料
 カルシウムの働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html


 ビタミンDの働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html

 

投稿者: おばた内科クリニック

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