認知症・物忘れ外来

認知症とは

認知症とは、さまざまな原因によって脳の働きが悪くなったり、脳の細胞が死んでしまったりしたために障害が起こり、日常生活や社会生活に支障を生じている状態で、意識障害がないときにみられる状態を言いますす。
脳には、人間の活動をコントロールする司令塔の役目があります。それがうまく働かないことによって、精神や体の動きがスムーズにいかなくなります。

認知症早期発見のポイント

ご家族や身近な方で、もの忘れが増えてきたと感じることはありませんか。
認知症のサインを見逃さず、早めに対応することで、症状を改善したり進行を遅らせたりすることができます。早期発見・早期治療が重要です。
こんな症状に気づいたら、早めに受診しましょう。

何度も同じことを言ったり聞いたりする
物の名前が出てこなくなった
だらしなくなった
洋服をうまく着られなくなった
よく知っている場所で道に迷う
ささいなことで怒りっぽくなった
置き忘れやしまい忘れが目立つ
計算の間違いが多くなった
財布を盗まれたと言う
夜中に急に起きだして騒いだ
薬の管理ができなくなった
鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりする

認知症の原因となる疾患

軽度認知機能障害

軽度認知機能障害とは、認知症の前段階とされています。
ただし、そのすべての方が認知症になるわけではありません。

定義 Petersenら2005年改定
 1.本人または家族から認知機能低下の訴えがある
 2.認知機能は正常とは言えないものの認知症の診断基準も満たさない
 3.複雑な日常生活動作に最低限の障害があっても、基本的な日常生活は正常

認知症発症には生活習慣が関係している事が分かってきており、生活習慣を改善すれば、発症を予防することが期待でき、発症してしまった際にも、悪化を食い止めることも期待されます。

早期発見と早期治療が大切ですので、何か気になる点がありましたら、いつでもご相談下さい。
また、当クリニックでは、血液検査にて軽度認知機能障害のリスクやアルツハイマー型認知症の発症リスクとされるAPOE4遺伝子の有無を調べることが出来ます。

アルツハイマー型認知症

概念
 認知症(物忘れ)を主体とし、病理学的に大脳の全般的な萎縮を認める
 組織学的に老人斑、神経原線維変化の出現を特徴とする

疫学
 認知症(物忘れ)で最も多く、女性に多い

特徴的な症状
 数分前から数時間前や数日前の事を忘れてしまう
 料理や掃除などいつも出来ていた日常生活動作が困難となる
 道に迷ってしまう

治療使用薬のポイント
 1.コリンエステラーゼ阻害薬はどれを使ってもよい
 2.使い易いのはドネペジル塩酸塩であるが、患者さんによっては易怒性(怒りっぽさなど)の副作用あり注意が必要 
 3.長期の治療成績はガランタミン臭化水素酸塩が良い
 4.リバスチグミンは日常生活動作を改善し、高齢者に向く 
 5.効いたと思ったらあえて増量せずに様子をみる、効果が足りないと思ったら増やす
   効果が強すぎると思ったら減量する。
 6.メマンチン塩酸塩は服用可能な量で長期間持続する
 7.シロスタゾールも有効 *アルツハイマー型認知症には保険適応がありません 
 8.易怒性には抑肝散かチアプリド塩酸塩、あるいはクエチアピンフマル酸塩を少量使用

CT/MRI

側頭葉・海馬(記憶に関係する部位)が小さくなる

SPECT/PET

側頭葉、頭頂葉、後部帯状回の血流低下

レビー小体型認知症

概念
 Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって進行性の認知症と体動困難(パーキンソニズム)を呈する病態

疫学
 高齢者の認知症の約20%にみられ、男性に多い

症状
 体幹の傾き 、歩行障害、体が硬い(筋強剛、固縮)
 幻視(他の方には見えないが、患者さんには人や動物などが視える) 
 夜中に大声を出す、寝言(REM睡眠行動障害)
 うつ症状(またはうつ病の既往)
 「いつの間にか低血圧」、失神(意識消失発作)の既往
 薬に対する過敏反応(風邪薬で眠気を催すなど)

治療使用薬のポイント
 1.薬の過敏性に注意(一般の想定よりも薬の効果が強く現れる)
 2.医療保険の適応があるのはドネペジルであるが、リバスチグミンも効果が期待できる
 3.シロスタゾールも効果的 *レビー小体型認知症には保険適応はありません
 4.抑肝散が効果的で、幻視を改善させることもある
 5.体が動かしにくいなどのパーキンソン症状にはレボドパ製剤を少量使用する

CT/MRI

正常、または海馬の萎縮

 

SPECT/PET

後頭葉皮質の血流低下

 

DAT scan

基底核ドパミン再取り込み低下

脳血管性認知症

概念
 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって生じる認知症

疫学
 日本では老年期認知症の20-30%を占める

症状
 まだらな症状;症状が良いところと悪いところがある
 やる気の喪失、陰気、感情失禁(すぐに泣いたりする)
 夜間徘徊、昼夜逆転

治療使用薬のポイント
 1.治療は100点ではなく、60点を目指す
 2.第一選択はガランタミン臭化水素酸塩 *脳血管性認知症には保険適応はありません
 3.シロスタゾールも効果的
 4.興奮した場合には、チアプリド塩酸塩と抑肝散
 5.やる気の喪失などにもコリンエステラーゼ阻害薬は有効
 6.うつ症状、意欲の低下にはニセルゴリン、アマンタジン塩酸塩も効果的

CT/MRI

脳実質内に梗塞病変

PET/SPECT

梗塞部位および周囲の血流低下

前頭側頭葉変性症

概念
 前頭葉や側頭葉などに病変の首座をおく認知症の総称

分類
 前頭側頭型認知症;前頭葉変性症、Pick型、運動ニューロン病型
 意味性認知症、進行性非流暢性失語

症状(前頭側頭型認知症)
 易怒性(急に怒る)、興奮、暴言
 万引き、盗癖(非道徳的な行動)
 横柄、傲慢、自分勝手、普通の話が通じない
 常同行動(毎日同じ時間に同じコースを散歩するなど)
 治療拒否(薬を飲んでくれない)
 生活上のだらしなさ(風呂に入らない、片付けない)、収集癖
 甘いもの好き、過食、異食(石鹸を食べるなど)

治療使用薬のポイント
 1.ドネペジル塩酸塩は使わない
 2.若いPick病の治療は極めて困難
 3.記憶力よりもBPSD(精神症状などの周辺症状)の治療を優先させる
 4.コリンエステラーゼ阻害薬はガランタミン臭化水素酸塩を少量使用する *前頭側頭葉変性症には保険適応はありません 
 5.シロスタゾールもある程度有効
 6.興奮などの症状にはクロルプロマジン塩酸塩が第一選択

CT/MRI

前頭葉、側頭葉の萎縮

SPECT/PET

前頭葉、側頭葉の血流低下

認知症の診断と治療方法

まずは、患者さまやご家族からお話をお聞きします。
その後、触診による神経診察、簡単な認知機能評価、血液検査、頭部MRI検査などを行い、診断をさせていただきます。
診断結果にもとづいて、患者さまやご家族に最適な治療について説明し、ご了解いただいた後に治療を開始します。
また、必要に応じて、専門機関への紹介をしております。まずはご家族だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

VSRAD

アルツハイマー型認知症

レビィ小体型認知症

青色が萎縮した部分で、青色のある場所が異なる

MRI画像を使って、脳の萎縮度をみる検査【VSRAD(ブイエスラド)】によって、早期アルツハイマー型認知症診断の支援が可能です。アルツハイマー型認症をMRI画像によって診断ができるようになると早期治療につながり、結果としてアルツハイマー型認知症の進行を遅らせることが期待できます。
アルツハイマー型認知症は、もの忘れの進行とともに、記憶に関係する海馬という脳の部分が萎縮します。VSRADはこの萎縮の程度を検査します。

コウノメソッド

当院は「コウノメソッド」による認知症診療を取り入れています。
コウノメソッドは、患者さまだけではなく介護者さまも同時に救う処方(興奮系に作用する中核症状治療薬は少量処方、同時に抑制系薬剤も処方するなど)が特徴です。患者さまの状態に合わせて薬を適切に使用し、適宜サプリメントや点滴での治療も行います。

おばた内科クリニックにおける認知症に対するリハビリテーションの有効性について

一人ひとりに応じた服薬調整や有酸素運動、認知機能訓練が必要です。おばた内科クリニックでは、服薬調整だけでなく認知症予防体操や運動療法などのリハビリテーションも実施しており、統計学的にも一定の効果を得ています。

効果には個人差がありますが、認知症は生活習慣病のひとつとも言われており、各個人に応じたリハビリプログラムを立案し、生活習慣を改善し、認知症やその他の病気にならない体づくりをしてみませんか?
大切なのは、生活習慣の改善です。

【対象と方法】
おばた内科クリニックかかりつけの認知症患者さま(アルツハイマー型認知症)で、薬物治療群とリハビリテーション群において、治療開始前と治療開始3ヶ月後の長谷川式簡易認知症スケールでの変化を検討する。

薬物治療群:薬のみの治療の患者さま、12名
リハビリテーション群:薬の治療に加え、リハビリテーションを受けていただいている患者さま、10名
長谷川式簡易認知症スケール
 30点満点のうち、20点以下で認知症の可能性が高まるとされる
 認知症と確定している場合は、「20点以上で軽度」・「11~19点で中等度」・「10点以下で高度」と判定する

【結果・考察】
認知症は一旦発症してしまうと、何もせずに良くなることは難しいです。
認知症の原因や病状に合わせて薬を調整することで、進行を遅らせる事が期待できますが、薬が合わない事もあります。
当クリニックでの結果でも、薬を服用して頂いても悪化してしまった患者さまがいらっしゃいました。
一方、リハビリテーションを受けて頂いた患者さまは、今回の検討では誰一人悪化することなく、改善されました。
全ての患者さまがリハビリテーションで悪化しないとは言えませんが、副作用を心配する必要がなく、運動機能の維持・向上にも繋がりますので、積極的に取り入れることが望ましいと考えます。

認知症と診断されたら

患者さんに行って頂きたいこと
 認知症発症には生活習慣が関係している事が分かってきました。
 生活習慣を改善し、現在お困りの症状を改善し、今後の症状進行を予防しましょう!
 具体的には
  知的活動
   読書など頭を使うことを心がける
  有酸素運動
   週に3度、1回30分程度の散歩やサイクリングを心がける
  食生活
   サバやイワシのような青魚や野菜、果物摂取を心がける
   サプリメント;フェルガード、ココナッツオイル、プロルベインDR

介護家族に行って頂きたいこと
 ・家族内で介護分担を決める、一人の家族だけに介護を任せない
 ・介護認定を受けるために申請を行う
  申請が困難な場合は代理申請がありますので、お声掛け下さい
  訪問調査時には、
   普段出来ないことまでがんばってみせる
   出来ないことを、「できる」と言ってしまう
   などが見られますので、前もってメモなどに記載して下さい
 ・デイケア、デイサービス、ショートステイなど介護保険サービスを利用しながら介護を進める
  介護家族にも休養が必要です。頑張りすぎないで下さい
 ・薬の管理を患者さんだけに任せず、必ず家族もかかわる
  薬の管理がお一人で出来るのは、初期段階ですら半数程度です
 ・患者さんに自動車の運転をさせないように対策を講じましょう
 ・医療機関に通院する際には可能な範囲で家族が同行する

院長からのメッセージ

認知症は、今や誰がなってもおかしくない時代です。寿命が伸びたことによって年々増えており、65歳以上の4人にひとりが認知症とその予備軍といわれています。
早めに治療をすれば改善したり、進行を遅らせたりすることができますので、もの忘れの症状が気になりだしたら、認知症・物忘れ外来を受診し、年齢に伴うものなのか、病気に伴うものなのか調べましょう。

何でも相談できる身近なかかりつけ医です

総合内科専門医として幅広い診療科目に対応しています。検査、治療、リハビリまで一貫した医療を提供していますので気になる 症状や病気のこと、お困りのことがあればまずはご相談ください。

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